金田一シリーズの事件ごとの感想動画シリーズ。今回ピックアップするのは、コチラです! 「天草財宝伝説」【1】作品のあらすじ■ ミステリー研究会と謎の新入部員美雪が新部長に就任した不動高校ミステリー研究会に、三浦エミリという1年生の女子生徒がやってきた。彼女は「ある人から金田一の名前を聞いた」と語り、金田一の隣の席に座って急接近してくる。果たして、彼女はいったい何者なのか…?■ 天草四郎の財宝探し部活後、美雪と一緒に帰宅した金田一を待っていたのは、フリーライターのいつき陽介だった。彼が金田一の自宅を訪れた目的は、歴史上の人物である「天草四郎」にまつわる財宝探しの話を持ちかけるためだった。■ 船上で交錯する過去の因縁財宝探しのメンバーが集合し、一行は船で目的地へと向かう。しかしいつきを含め、集まったメンバーの多くは互いに顔見知りの様子。さらにその会話の中からは、「1年前」や「5年前」に起きた“ある出来事”を印象付ける、意味深なやり取りが交わされていた。果たして、それらの過去はこれから起こる事件の「動機」とどう関係してくるのか——!?【2】事件の主なポイント(ポイント1)2種類の謎解き同時並行■ 2つの軸で紐解くミステリー今回の事件を読み解く鍵は、「天草地方に伝わる財宝の伝説」と「金田一たちの周囲で実際に起こる事件の謎解き」の2つの軸を並行させつつも、一旦は別物として整理して考えていくことです。■ 「白髪鬼」の噂と「落盤事故」の因果地元の子供たちが恐れて噂する「白髪鬼」は、本当に財宝を狙う者たちへ死の制裁を加えているのか? また、ストーリーの途中で一部のメンバーが口にしていた過去の「落盤事故」は、今回の事件とどのような形で結びついてくるのでしょうか。■ 違和感の正体物語の中で金田一くんがふと感じていた「違和感」。その正体と、事件の裏に隠された真の動機は、いよいよ真相編にて全て鮮やかに解き明かされます! いずれにしても 「さんしゃる二 こんたろす五 くさぐさの でうすのたから しづめしづむる」 (講談社「金田一少年の事件簿 Case3 天草財宝伝説殺人事件(上)」プロローグより引用) これがこの事件の重要キーワードです!(ポイント2)第2の事件の時間差トリック■ 燃やされかけた荷物と赤門の「癖」財宝探しの道中、和田の荷物が入ったカバンが何者かに燃やされかける騒ぎが発生!誰が何のためにやったのか…実はこれが第2の事件の重要な伏線となります。また、事件に直接関与はしないものの、元東大生・赤門の「集合10分前に着く癖」も謎を解く大きなヒントに。■ シリーズ屈指!「認識のズレ」を利用したトリック第2の事件最大のポイントは、フロントに残された「コテージのチェックアウト時間」と、全員に同じものが配られたはずの「集合場所への地図」です。金田一少年の事件簿の中でも屈指の巧妙さを誇る「認識のズレ」を利用した心理トリックが仕掛けられています。■ 喫茶店での気づきと、犯人の正体美雪や四郎との現場検証の休憩中、立ち寄った喫茶店で金田一はトリックの核心に気づきます。それは「片方にあるから、もう片方にもあると思い込んでいた(実際はなかった)」という錯覚。本作は全体的にトリックが少なめだからこそ、「第2の事件がどう行われたか」さえ見破れば、自ずと犯人の正体が浮かび上がります!(ポイント3)蔵元家の家系図■ 全てのヒントは家系図の中に!事件全体を紐解く最大のポイントとなるのが「蔵元家の家系図」です!家系図全体を眺めて何かにピンときた様子の金田一くん。果たしてそこには何が書かれており、一見無関係に見える事件の関係者たちとどう繋がっていくのでしょうか!?■ 被害者たちの「ある共通点」蔵元家の家系図を注意深く読み解くことで、被害者たちに隠された「ある共通点」が見えてきます。その繋がりさえ分かれば、今回の事件でなぜ「彼ら」が標的として狙われなければならなかったのか、犯人の真の狙いが鮮やかに浮かび上がります。■ 真相編で判明する驚きの事実さらに真相編へと進むと、なんと予想外の「ある人物」もこの共通点を満たしていたことが判明します!1枚の家系図が導き出す事件の恐るべき構図から、最後まで目が離せません。【3】事件のキーパーソン天童四郎や三浦エミリなど意味深なキャラも登場しますが、本作の真のキーパーソンは「いつき陽介」です!彼の過去が事件の結末の「後味」にどう影響しているのか。あえて多くは語りませんが、本作最大の醍醐味ですね。【4】まとめ(感想/残った謎/37歳の事件簿に繋がりそうな話)🔍 【日常のギャグシーンとキャラクターの対比】授業中の居眠りやT定規でのツッコミ、お母さん特製の「松茸が一本も入っていない松茸ご飯」など、冒頭から笑えるシーンが満載です。また、美雪が部長を引き継いだミステリー研究会での真壁先輩のキモい言動も必見。「37歳の事件簿」での立派な真壁刑事の姿と比べると、その成長ぶりとギャップに驚かされます。🔍 【いつき陽介の深掘りと「37歳」への繋がり】本作はいつき陽介という人物の背景や葛藤に大きくスポットが当たっています。病気の瑞穂ちゃんを引き取った直後の状況や、3歳年上の編集者・和田に対するタメ口など、当時の彼の立ち位置がよく分かります。「37歳の事件簿」で彼が52歳となり、瑞穂ちゃんも結婚して幸せに暮らしているという未来からの逆算を踏まえると、いつきさんのこの20年間がよりエモーショナルに感じられます。🔍 【いつきと考古学助教授・最上葉月の関係性】いつきが唯一よそよそしい態度をとる、考古学の助教授・最上葉月(年齢と分野がワンピースのニコ・ロビンと完全一致!アニメ版での声優はナミ役の岡村明美さん!)。二人の皮肉と懐かしさが入り混じる絶妙な距離感や、彼女が犯人扱いされた際にいつきが見せた正義感溢れる弁護が印象的です。それだけに、真相編の手前で訪れる「あのシーン」の悲劇性が際立っています。🔍 【愛すべきツッコミキャラ・編集者の和田】週刊ケンタイの編集者・和田は、本作のツッコミどころを担う良いキャラクターです。プライベート情報まで載せすぎた名刺、いつきに強制終了されるほど長すぎる話、そして現代の感覚(スマホやタブレットで完結する時代)から見ると多すぎる荷物など、面倒くささが満載です。大人の営業マンとなった「37歳」の金田一なら彼にどう対応するのか、想像してみるのも面白いポイントです。🔍 【サブキャラの活躍と過去作(悲報島)とのリンク】ダウザーの家系である三浦エミリのサプライズ参戦(彼女が金田一を知っていたのはいつき繋がり)など、脇を固めるキャラも魅力的です。さらに、天童四郎の父が放った「土を掘るより資料を掘れ」という言葉は、同じ九州を舞台にした「悲報島」でのセリフと完全に一致しており、過去作とのリンクや共通点を探る楽しさも散りばめられています。🔍 【事件の真相と、涙を誘う切ない結末】犯人の抱えていた苦しみに「周りが気付いてあげられなかったのか」という悔しさと、金田一の「ハカリにかけてはいけないもの」という重い言葉が胸を打ちます。いつきが真相編で感情を剥き出しにして取り乱したのも、瑞穂ちゃんを引き取るきっかけとなった過去の事件との重なりや、大切な人を失った悲しみがあったからこそ。そして事件後、クリスマスイブの病院に「サンタクロース」が訪れる心温まるラストシーンは、ぜひコミックスで味わってほしい最高の後味を生み出しています。