金田一シリーズの事件ごとの感想動画。今回ピックアップするのは、コチラです!「剣持警部の殺人」本編に進む前にちょっと思いがあって、この事件はトリックの部分よりも、全体的な総括に多くの尺を割きたいと思います。事件のポイントに触れる前に、この事件を読んだ皆さんにぜひ考えていただきたい質問が二つあります。一つ目は、「この事件で、もっとも許せない人物は誰ですか?」という問いです。そして二つ目は、「この事件で、もっとも可哀想な人物は誰ですか?」という問いです。この二つの質問は、読む人によって解釈が大きく分かれるのではないかと感じました。前者に関しては、「この事件の犯人」と答える方もいれば、別の人物を挙げる方もいるかもしれません。また後者については、「十神まりな」かもしれませんし、妹の「十神えりな」かもしれません。あるいは「剣持警部」と答える方もいるかもしれません。それぞれの感じ方があって良いと思います。私自身の感覚としては、この事件は数ある『金田一少年の事件簿』の中で唯一「もう見たくない」と感じた事件でした。今回動画を作るにあたり改めて読み直しましたが、それ以外では通して読んだのは3回ほどしかありません。それほどまでに、他の事件と比べて「現実味」が強く、「感情を大きく揺さぶられる部分」があったのだと思います。【1】作品のあらすじある日、デスクの上で剣持警部が眺めていたのは、3年前の少年事件の写真でした。一方その頃、登校途中の金田一や美雪の前に、車に乗った転校生が現れます。どうやら剣持警部はその転校生や、かつての仲間たちのことを妙に気にしているようでした。やがて剣持警部は、この事件に巻き込まれていくことになります。【2】事件の主なポイント(ポイント1)バスタブはどうなっていた!?事件の鍵を握るのは、第一の事件におけるバスタブの中の状況です。なぜそこが現場に選ばれたのか。それは「アレの形」も理由の一つなのではないでしょうか。そして、トリックの真相に近づくもう一つのポイントは、携帯電話が「あの状態・あの位置」にあった理由です。(ポイント2)犯人のハードワーク第3の事件は密室でした。ドアのすぐ内側にたくさんのソファが固められており、鍵もかかっていた様子です。さらに、埃の跡がないカーペットも気になります。本編ではあまり触れられていませんでしたが、建物の5階まで剣持警部を運んでいることになります。やはり犯人はスケジュール的にもタイトで、かなりのハードワークをこなしていたことになります。(ポイント3)そこに何故いる?高遠遙一真相編には高遠が、とんでもない場所に素顔で登場しました。しかし、なぜ誰も彼を高遠だと気づかずに通してしまったのでしょうか。【3】事件のキーパーソンこの事件のキーパーソンは、問答無用で剣持勇です。しかし、『金田一37歳の事件簿』にも登場していることから、少なくとも剣持警部が犯人ではないことは明らかです。では一体誰がやったのか。犯人は、剣持警部の存在を巧みに利用していたのではないでしょうか。【4】まとめ(感想/残った謎/今後に繋がりそうな話)犯人の本気度犯人を知った上で読み返すと、「このシーンも本気で挑んでいたの?」と感じる部分があります。偽装していたのかもしれませんが、だとしたらバレないようにするのは至難の業です。犯人自身も、綱渡りのような危うい状況にあったのかもしれませんね。妹・十神えりなのメンタル妹の十神えりなは、とてもメンタルが強いですね。3年ぶりだったとはいえ、多間木や魚崎とよく直接顔を合わせられたと思います。彼女が2つの事件の発生後に現れたのは、犯人だからなのか、ミスリードなのか、それとも全く別の意味があったのか。関係者の中では、一番動機が分かりやすい人物であることは確かです。十神まりなの恋人・青井刑事の複雑な表情似たような意味で、青井刑事もよく多間木と会えたなと思います。多間木の「ええっ!」と驚くシーンでの青井刑事の表情には集中線がついていますが、その表情は少し複雑でしたね。ある意味では、この青井刑事が登場人物の中では一番強い恨みを持っていたのかなとも感じてしまいます。明智警視に「中立性に欠けるのでは?」と進言したシーンも、巡査と警視という立場関係を考えれば、かなり勇気のいる発言だったのではないでしょうか。十神家の父親の転職理由は?十神まりな・えりなの姉妹の父親は、事件後に新聞記者から印刷会社へ転職していました。これは、決まった曜日に休める職場であり、新聞記者時代のスキルが活かせるような部分があったからでしょうか。この時代に、既読機能付きメッセージアプリがあったら…?この事件の時点で、金田一くんの世界に「ライソ」(既読通知付きのメッセージアプリ)があったら、物語はどんな風に描かれたでしょうか。それは「オペラ座館でメールが使えたら」「明智警視のようにヘリを飛ばせたら」といった議論にもつながりますね。もしかすると、この事件のトリックは「ライソなどが無かったからこそ成立した」と言えるかもしれません。コミックスの初版が2009年の秋だったことを考えると、その時代背景だからこそできたトリックだったのかもしれませんね。剣持のオッサンの年齢は「飛騨からくり屋敷」と矛盾している?剣持警部は途中で48歳だと明かされました。そういえば、『飛騨からくり屋敷殺人事件』に登場する巽紫乃は37歳で、彼と幼馴染だったはずです。11歳も離れているのに幼馴染というのは、少し不思議ですね。もし男の子と女の子だったなら、なおさら接点は少なかったのではないでしょうか。もしかしたら、子供会や町内会が一緒だったのかもしれませんね。犯人のタイトなスケジュール犯人を知った上で読み返すと、犯人は1日や2日のうちに、かなりタイトなスケジュールを組んでいたことになりますね。もし相手から連絡が来なかったら、どうしていたのだろうかと考えてしまいます。また、3年前の事件の被害者である3人のうち、第一の事件の被害者の「感情」は回想以外ではほとんど描かれていませんでした。そのあたりがもう少し詳細に描かれていたら、3年前と後とでの変化を、また別の捉え方ができたかもしれません。金田一くんが突っかかる、犯人以外の「ある人物」金田一くんが、ある人物に美雪が心配になるほど強く突っかかっていましたね。ただそれは、相手が個人的に気に食わないからではなく、その行動や態度に不信感を持ったからだと信じたいです。その後どうなった?第2の事件の被害者第二の事件の被害者である「彼」は、その後無事でした。そして、その直後に毒島の前に現れたシルエットの人物については、いくつかの解釈が可能です。明智警視の行動は漫画の世界だったから…?明智警視が金田一くんに、3年前の事件の資料の件で「漫画だから許されるような許可」を出してしまいました。これはあくまで漫画の中でのことなので、ご注意ください。すれ違いが生んだ悲劇全体的に、すれ違いが重なった事件でした。もし「〜だったら」の話になってしまいますが、もしこの時間帯に登場していない毒島の父親がアパートの契約を打ち切っていたら、3年前の事件自体が起こらなかったはずです。もしかしたら、それすらもできない状況だったという事なのでしょうか……。